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吉祥寺のオーディオ機器とNana Mouskouriのレコード・CD専門店ブログ。

NANA MOUSKOURI “オールド・トイ・トレイン”

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NANA MOUSKOURI “オールド・トイ・トレイン”

写真上は、アルバム・タイトル≪CHRISTMAS WITH NANA MOUSKOURI≫PHILIPS 6312 033 1972 CANADA)の洋盤LPの表面、写真下はその裏面です。本LPは、ファンの要望に応えて1972年に発表されたクリスマス・アルバムです。ナナの清らかな美しい声と、素直な中にも情感のこもったフィーリングは、クリスマス・ソングにはピッタリで、クリスマス・アルバムの決定版といえます。日本では、同様の邦盤LPが、≪クリスマス・アルバム/ナナ・ムスクーリ≫(FONTANA SFX-5086 1973)として発売されています。

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オールド・トイ・トレイン

今回は、本LPに収められている≪オールド・トイ・トレイン≫を紹介致します。この曲は、カントリー・アンド・ウエスタン畑のシンガー・ソング・ライター、ロジャー・ミラーが作詞・作曲した、愛らしいクリスマス・ソングです。ミラーが自身の息子さんの為に作ったと言われております。“小さなおもちゃの汽車、トラック、そして太鼓。それはサンタのおじさんが袋に詰めて運んでくるプレゼント。坊や、目を閉じて、静かな空から聞こえて来るジングルベルの音に耳を澄まして御覧なさい。”ナナは我が子に言い聞かせる様に、やさしく語りかけます。

オールド・トイ・トレイン OLD TOY TRAINS

古びたオモチャ
汽車にトラック
おお太鼓
サンタのおじさん
大きなふくろ
赤白大きなお洋服
さあ坊や
もうネンネのお時間よ


目を閉じて
耳を澄ましてごらんなさい
静かに
安らかに
聞こえてくるでしょ
ジングルベルが
古びたオモチャ
汽車にトラック
おお太鼓
サンタのおじさん
大きなふくろ
赤白大きなお洋服
さあ坊や
もうネンネのお時間よ


目を閉じて
耳を澄ましてごらんなさい
静かに
安らかに
聞こえてくるでしょ
ジングルベルが
古びたオモチャ
汽車にトラック
おお太鼓
サンタのおじさん
大きなふくろ
赤白大きなお洋服
さあ坊や
もうネンネのお時間よ

ジ・アテニアンズと共に、ムスクーリはひとり二重奏を交えて、やさしい唄声を聞かせてくれます。聞く人の幼かった頃の想い出がよみがえります。楽しいクリスマスのひと時をお過し下さい。

本年最後のブログとなりますが、来年も出来る限りナナ・ムスクーリに関する記事を書いていければと思っております。来年もよろしくお願い致します。

NANA MOUSKOURI “オープン・ユア・アイズ”

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NANA MOUSKOURI “オープン・ユア・アイズ”

写真上は、アルバム・タイトル≪TURN ON THE SUN≫(FONTANA 6312 008 1971 CANADA)の洋盤LPの表面、写真下はその裏面です。本LPは、サイモンとガーファンクルボブ・ディランの歌のほか、マノス・ハジダギスの曲などを取り上げ、英語とギリシャ語を使って、見事な唄声を聞かせてくれます。いずれも彼女のパーソナリティーにピッタリの曲目であり、その真価を充分に味わうことが出来ます。

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オープン・ユア・アイズ

今回は、本LPに収められている≪オープン・ユア・アイズ≫を紹介致します。この曲は、バーグマン、ガルシア、クレッツマーの三人による作詞・作曲の作品で、息子が誕生してから成長していく様子を見守る母親の気持ちや願いが、切々と唄われております。ジ・アテニアンズのドラムだけをバックに、ナナは心に沁みる唄声を聞かせ、その実力を余すところなく発揮します。

オープン・ユア・アイズ OPEN YOUR EYES

目を開けてごらん 生まれたばかりの息子よ
ごらん 貴方の世界が新しく始まるのを
足の下の変化してゆく大地を
天は生きてゆくために それを授けてくれたのよ
ねんねんよ 貴方のこれからの人生がとっても甘く過ぎ去るように
でも次第に 涙の味を知ることになるのよ


目を開けてごらん 大きく成長してゆく息子よ
辛い仕事が待っているのよ
お父さんと同じ骨折りをするようになるわ
背中を曲げて 土を耕すの
砂の下に 貴方が種をまいたものは 誰も知らないわ
日毎にその眠る大地から 何かが芽生えてくるの


目を開けてごらん 優しい息子よ
さあ いとまごいをし 銃を取って
お父さんの後に続きなさい 小山を駆け回り
天は与え 天は奪うから
でも神様と一緒に歩みなさい 若者の心を持って
私はここで 待っているわ ずっと


目を開けてごらん 愛する息子よ
貴方の人生は こんなに早く過ぎ去ってしまったの
どうして すぐ眠り落ちてしまうの
まだ 真昼間だというのに
私と一緒に歩いておくれ 前の春歩いたように
来てごらん 花が咲き始めたのよ
ララララ・・・・・・・・

ナナは、音楽的な響きを持った声で、リリックな演唱を繰り広げて唄います。息子を思う母親の祈りが、聞く人の心に限りない共感を呼び起こします。

NANA MOUSKOURI “ウェディング・ソング”

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NANA MOUSKOURI “ウェディング・ソング”

写真上は、アルバム・タイトル≪谷間に三つの鐘が鳴る/ナナ・ムスクーリ(FONTANA SFX-6036 1975)の邦盤LPの表面、写真下はその裏面です。本LPは、スタンダードな名曲を、ナナが愛を込めて歌うファン待望のアルバムで、親しみやすい名唱を繰り広げています。解説欄には、『ナナは今や、世界のトップ・エンターテナーの一人であり、その独特の唱法で歌います。抒情詩をとりあげ、その底に流れる<フィーリング>を感じ取り、自分のものとしてしまう稀な才能を持っています。』との、マイク・ウォルター氏によるナナの紹介記事が載っております。

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ウェディング・ソング

今回は、本LPに収められている≪ウェディング・ソング≫を紹介致します。この曲は、ピーター・ポール・アンド・マリーのポール・ストゥーキーが、ピーター・ヤーロウの結婚に際して、祝福のために作ったWedding Song(There Is Love)で、1971年にリリース以後、アメリカの結婚式でのスタンダード・ナンバーとなっています。歌詞に出て来る吟遊詩人(Troubadour:トラバドゥール)は、中世のオック語抒情詩の詩人、作曲家、歌手のことで、彼等の詩の多くは、騎士道と宮廷の愛をテーマにしており、特に結婚した恋人を想う真実の愛の歌が有名。ナナは、ピーター・ナイトの伴奏指揮で、愛を込めて唄います。

ウェディング・ソング WEDDING SONG

彼は今 貴方の心の中に入り込み
貴方に夢中
吟遊詩人っぽい何かが
彼に働きかける
貴方達二人の心が結びつき
彼は生涯の人となった
どんな時も 貴方達二人と子供達は
彼の名のもとに・・・
そこには愛がある そこには愛がある


男は母を去り
女は家を去るでしょう
二人は一つに結ばれる
旅にたつでしょう
それは始まりであったように
今であり 最後まで続くもの
女は男から人生を引き出し
そしてまた 男に返す
そこには愛がある そこには愛がある


ところで夫や妻の名になるのは
どんな理由から?
それは愛のため?
貴方の人生をもたらしたのは愛?
もし愛するということが その答えなら
誰がそれを与えるのでしょう?
貴方はその愛を
今迄一度も経験しなかったと 信じられますか?
ああ そこには愛がある そこには愛がある


この二人の心が結ばれて
彼は生涯の人となった
どんな時も 貴方達二人と子供達は
彼の名のもとに・・・
そこには愛がある そこには愛がある

愛をテーマにしたロマンチックな佳曲を、ナナは美しい声に深い感情を込めて、しみじみと唄い聞かせてくれます。・・・There is love,there is love・・・

NANA MOUSKOURI “澄んだ泉のほとりで”

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NANA MOUSKOURI “澄んだ泉のほとりで”

写真上は、アルバム・タイトルアヴェ・マリア~母と子のアリア/ナナ・ムスクーリPHILIPS 28PP-136 1987)の邦盤LPの表面、写真下はその裏面です。本LPは、ナナが過去に録音したイギリス、フランス、スペインの民謡や古くから伝わるクラシカル・アリアの名曲13篇を集めたナナのベスト・アルバムです。ナナの名唱が、やすらぎと愛を伝えてくれます。

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澄んだ泉のほとりで

今回は、本LPに収められている≪澄んだ泉のほとりで≫を紹介致します。この曲は、日本でも邦題名≪清らかな泉のそばで/澄んだ泉にて≫等で知られている民謡です。もともとはフランス領であったカナダのケベック発祥の歌と言われていますが、フランス本土に伝わり、革命当時から歌い継がれてきたという作者不詳の古いフランス民謡です。また、男性が主人公の時の歌詞、女性が主人公の時の歌詞など数バージョンがあるようです。ナナは、ジョルジュ・ペツィラスの編曲、ジ・アテニアンズの伴奏で、心を込めて唄います。

澄んだ泉のほとりで A LA CLAIRE FONTAINE

きれいな泉へ
散歩に行くと
水は透きとおっていて
私は水浴びをした
貴方を愛したのは 昔のこと
決して貴方を忘れないわ


樫の葉陰で
身体を乾かした
一番高い枝で
ナイチンゲールが鳴いていた
貴方を愛したのは 昔のこと
決して貴方を忘れないわ


歌いなさい ナイチンゲール 歌いなさい
お前は陽気な心を持っているから
お前の心は 笑い出しそうなんだから
私の心は 泣き出しそう
貴方を愛したのは 昔のこと
決して貴方を忘れないわ


それは 友達のピエールのせい
もう私を愛してくれないから
だって バラのつぼみを
私が 受け取らなかったから
貴方を愛したのは 昔のこと
決して貴方を忘れないわ


友達を失ったの
私が彼にあたいしないので
だってバラのつぼみを
私が受け取らなかったから
貴方を愛したのは 昔のこと
決して貴方を忘れないわ

長い時の流れの中を生き残って来た古謡には、聴く人一人一人がそれぞれの物語を持っているものです。ナナは素直な演唱に何とも言えない情感を漂わせて唄ってくれます。

NANA MOUSKOURI “哀れなリュトブーフ”

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NANA MOUSKOURI “哀れなリュトブーフ”

写真は、アルバム・タイトルナナ・ムスクーリシャンソン・アルバム≫(FONTANA SFX-6003 1974)の邦盤LPの表面です。本LPは、ナナがパリを拠点として活動する中で、シャンソンを数多く取り上げておりますが、その中から名曲・名唱を集めて編集された1枚です。彼女ならではの美しい演唱に、シャンソンの魅力を再発見する事が出来ます。

哀れなリュトブーフ

今回は、本LPに収められている≪哀れなリュトブーフ≫を紹介致します。この曲は、中世の吟遊詩人リュトブーフ(リュトブフ)の詩に、<パリ・カナイユ>等で知られるレオ・フェレが1956年に作曲した一篇で、レオ・フェレをはじめ多くの歌手によって歌われています。リュトブーフは、13世紀後半の人で、パリで貧窮のうちに放浪生活を続け、庇護者を求めての惨めな生涯を送り、絶望や悲惨さを詩に書き綴りました。ナナは、ジョルジュ・ペツィラスのギター・ソロを伴奏に、しみじみと唄います。

哀れなリュトブーフ PAUVRE RUTEBEUF

あの友人達は どうなったのだろう
あんなに身近に付き合い
とても好きだった友人達は
みんなバラバラになってしまったの
風がそうさせたのね
愛は死んでしまった
風がみんなを連れ去ったんだわ
風は私の扉の前を吹いて
彼等を連れて行ってしまったの


時がたって 木々が裸になる時
もう 地面に落ちるだけの
白い葉しか残ってない時
貧しさに打ちひしがれ
あちこちで いさかいをする
冬の話は
聞かせる様なもんじゃない
どんなに 恥ずかしさを感じた事か
どんなに


あの友人達は どうなったのだろう
みんなに身近に付き合い
とても好きだった友人達は
みんなバラバラになってしまったの
風がそうさせたのね
愛は死んでしまった
悪いことばかりじゃなかったけれど
来るべきものは
みんな来たわ


悲しい苦しみ 悲しい思い出
栄光の神が 私にくれたものはそれ
そして僅かばかりの年金
それに北風が吹く時の ひどい仕打ち
風はやって来て 私に吹きさらす
愛は死んでしまった
風は友人達を 連れ去ってしまったの
私の扉の前を吹いて
連れて行ってしまったの


明日にかける希望こそが
私の喜び

ナナは、放浪の吟遊詩人リュトブーフの旅の哀れを、しみじみとした味わいも格別に聞かせてくれます。原曲の味を損なわずに、現代風のセンスの良い控えめな演唱が聞きものです。