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吉祥寺のオーディオ機器とNana Mouskouriのレコード・CD専門店ブログ。

NANA MOUSKOURI “ロング・ゴーン”

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NANA MOUSKOURI “ロング・ゴーン”

写真上は、アルバム・タイトル≪DIS-MOI 愛のささやき/ナナ・ムスクーリ(FONTANA SFX-5069 1973?)の邦盤LPの表面で、写真下はその裏面です。このLPは、1971年と1972年に録音された曲で編集、全ての曲がフランス語歌詞にて構成されております。ナナの円熟味を増した魅惑の唄声を、充分に味わうことが出来るLPに仕上がっております。

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ロング・ゴーン

今回は、本LPに収められている≪ロング・ゴーン≫を紹介致します。この曲の原曲は、アメリカのシンガー・ソングライターであるニール・ダイアモンドが、1968年の暮れに発表した作品《ロング・ゴーン LONG GONE》です。この曲に、ミッシェル・ジョールダンとセルジュ・ラマの二人がフランス語歌詞を書き、仏題は≪風が貴方を連れて行くところへ≫という歌になりました。『信じさえすればすべてが可能になる。若い時は二度と来ないから、風の吹くまま遠くへ行き、一人前の男になって帰って来なさい。』と、我が子に向かって語りかける、教訓に富んだ歌詞がつづられています。

ロング・ゴーン OU LE VENT T’EMMENE

すべては出来る 信じさえすれば
出来ないことなど ありはしない
思春期は戻ってこない
だから 待たずに前に進まなきゃ


行きなさい 遠く 風の吹くままに
行きなさい 遠く いいと思う様に
遠く 遠く 一日の苦があれば
喜びの日が 十万日あるところへ


世界を駆け巡り
戦いなさい
しまいには
貴方は勝つわ
チャンスに賭けて
チャンスは貴方のものになる
信じなさい
貴方には未来が一杯


行きなさい 遠く 風の吹くままに
行きなさい 遠く いいと思う様に
遠く 遠く 一日の苦があれば
喜びの日が 十万日あるところへ


行きなさい 遠く 風の吹くままに
生きなさい 遠く いいと思う様に
遠く 遠く 世界の風の吹くままに
そして 私なしでも 世界を回りなさい


行きなさい 遠く 風の吹くままに
今夜 私の子供 貴方は発って行く
行きなさい 遠く そして苦労を重ねて
ある日 一人の男になって 帰って来る様に


行きなさい 遠く 風の吹くままに
今夜 私の子供 貴方は発って行く
行きなさい 遠く そして苦労を重ねて
ある日 一人の男になって 帰って来る様に

アラン・ゴラゲールの軽快なリズムの伴奏に乗って、ナナの軽やかな演唱もまことに快い限りです。

NANA MOUSKOURI “消えうせた夢”

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NANA MOUSKOURI “消えうせた夢”

写真上は、アルバム・タイトル≪QUE JE SOIS UN ANGE≫PHILIPS 9101 007 1974 FRANCE)の洋盤LPの表面で、写真下は見開きのスナップ写真です。このLPは、ナナが1974年に発表したアルバムで、フランス語歌詞を中心に、情感豊かな歌声を聞かせてくれます。曲目も、きわめて国際色豊かで、オリジナル・ナンバーのほか、イギリス、アメリカ、ドイツ等の曲を取り上げ、親しみやすい演唱を繰り広げています。日本では、同様の邦盤LPが、ナナ・ムスクーリ/夢がある限り≫(FONTA FDX-133 1975)として発売されています。

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消えうせた夢

今回は、本LPに収められている≪消えうせた夢≫を紹介致します。この曲は、クロード・ルメールが作詞し、このアルバムの伴奏とアレンジを担当しているアラン・ゴラゲールが作曲したオリジナル作品です。また、ブラックバーンによる英語歌詞《消えうせた夢He’s gone away》や、日本語歌詞《消えうせた夢》にてもレコーディングされております。<NANA MOUSKOURI A PARIS>のライブ録音盤では、曲のタイトル名が≪想い出の旅立ち IL EST PASSE≫として紹介されています。
ノスタルジックな情感を漂わせながら、ナナは「通りすぎて行った彼のことが忘れられない。・・・」とフランス語歌詞で唄います。

消えうせた夢 IL EST PASSE

彼は 他の町からやって来ました
もの静かな雰囲気で
風のことや 人のことや 島のこと
ちょっと馬鹿げたことを言っていました
彼には腰を落ち着ける港はなくて
大きな夢と そんな雰囲気しか持っていませんでした
国境はなく 惨めさしか持っていませんでした
彼は通りすぎて行きました
通りすぎて行っただけなのです
もう彼のことを考えるのは およしなさい
季節が変わって 彼は居なくなってしまいました
彼は通りすぎて行きました
通りすぎて行っただけなのです
もう彼のことを考えるのは およしなさい
そんなことは 時代遅れの夢なのに・・・・
彼は通りすぎて行きました
そして貴方は従わなきゃいけないことや
貴方に約束されたことは何も考えず
彼のことしか考えていません
結婚や つかの間の希望など
彼は知りたくたくもなかったのです
けれど 彼はとても優しかったから
貴方は彼を待っているのね
秋が来て
貴方が めちゃくちゃにノスタルジックになった時
彼は通りすぎて行きました
通りすぎて行っただけなのです
もう彼のことを考えるのはおよしなさい
季節が変わって 彼は居なくなってしまいました
彼は通りすぎて行きました
通りすぎて行っただけなのです
もう彼のことを考えるのはおよしなさい
そんなことは 時代遅れの夢なのに・・・・
彼は通りすぎて行きました
そして貴方はまだ 彼のことしか考えていません

アコースティック・ギターの音色と共に、去って行った人を思う彼女の唄声が、静かにしみじみと聴く人の心を打たずにはおきません。とても印象に残る名唱です。

NANA MOUSKOURI “懐かしの恋人たち”

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NANA MOUSKOURI “懐かしの恋人たち”

写真は、アルバム・タイトル≪恋人達の詩集/ナナ・ムスクーリPHILIPS FDX-530 1978)の邦盤LPの表面です。NANAは、フランス各地で唄われた、伝統豊かな美しい民謡を数多く取り上げて唄っておりますが、本LPも素晴らしい選曲によるフランス民謡集に仕上がっております。

懐かしの恋人たち

今回は、本LPに収められている≪懐かしの恋人たち≫を紹介致します。この曲は、古いフランス民謡で、16世紀までさかのぼることが出来ると言われております。作者は明らかではありませんが、フランス王フランソワ1世ではないかという説もあります。16世紀前半に君臨したフランソワ1世の時代は、イタリアのルネサンス文化の影響を強く受けたこともあり、王家の宮廷詩人達が新しい自由形式の詩を生み出すと共に、王室音楽家も親しみやすい旋律とリズムを持った新しい音楽が次々と開拓されていました。
ナナは、恋多き男の美しい愛の調べを、優しく静かに語りかけていきます。

懐かしの恋人たち MES BELLES AMOURETTES

私の懐かしい恋人達
何処へ行ってしまったの?
毎日場所を変えていますか?
空が私に望むように
あの頃の苦しみが懐かしい
恋の話をするために
あの森に行きましょう
私の懐かしい恋人達
何処へ行ってしまったの?
毎日場所を変えていますか?


私の懐かしい恋人達
何処へ行ってしまったの?
何回も場所を変えていますか?
私の秘密の苦しみを
誰に言えばいいのでしょう?
消えそうな声で歌うため
あの森へ行きましょう
私の懐かしい恋人達
何処へ行ってしまったの?
何回も場所を変えていますか?

ナナの唄声が、哀愁のこもったギターの伴奏に乗って、懐かしの美しい愛の歌に、いにしえの古き時代の息吹を与えてくれます。

NANA MOUSKOURI “過ぎ行く人生”

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NANA MOUSKOURI “過ぎ行く人生”

写真上は、アルバム・タイトル≪JE CHANTE AVEC TOI LIBERTE≫PHILIPS 6399 295 1981 HOLLAND)の洋盤LPの表面で、写真下は見開きのスナップ写真です。NANAは、1980年代に入ると精力的な活動を開始し、自分の持ち味にピッタリ合った曲を選んで歌い込んだアルバムを発表するようになります。このアルバムも、そんな線上に位置する1アルバムで、ヨーロッパの気品を讃えたソフト・ヴォーカルを楽しむ事が出来ます。

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過ぎ行く人生

今回は、本LPに収められている≪過ぎ行く人生≫を紹介致します。この曲は、本LPの編曲とオーケストラの指揮を担当したアラン・ゴラゲールが作曲し、クロード・ルメールが作詞した作品です。《人生の半ばを振り返りつつも、残りの人生をあるがままに後悔しないで生きて行きたい・・・。》という思いが込められた歌です。ナナは、≪過ぎ行く人生≫の未来に向けて、明るく語り掛けていきます。

過ぎ行く人生 LA MOITIE DE MON ROMAN

こうして人生は過ぎて行く 時間は過ぎて行く
朝から 春に降った雪から
こうして毎日は過ぎて行く 人々は去って行く
愛や お金を追いかけて
他のことは 何も見ない
少しずつ 現在が 
重い過去になって行く
人は 時代遅れの旅人


これは 私のロマンの半分
これは 私の話の半分
時の流れと共に 歩く私
目の悪さも 思い出の一つ
半分過ぎた 私の愛
私の悲しみ 私の怒り
もう半分 生きて行きたい
後ろを振り向かず
子供の様に 広い心で
私のロマンのもう半分


私も失ったし 手に入れた
でも 決してだましはしなかった
私も 真面目な友が
離れて行くのを見た
でも 締めくくりは
いつもバランスがとれていた
もし千年生きたとしても
いつも いい方向へ行けるでしょう


これは 私のロマンの半分
これは 私の話の半分
時の流れと共に 歩く私
目の悪さも 思い出の一つ
半分過ぎた 私の愛
私の悲しみ 私の怒り
もう半分 生きて行きたい
後ろを振り向かず
子供の様に 広い心で
私のロマンのもう半分
ラ ラ ラ・・・・

ナナは、ギルシャの曲かと思わせるようなリズミカルなサウンドに乗って、円熟味を増した唄声を聴かせてくれます。

NANA MOUSKOURI “二人の足跡”

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NANA MOUSKOURI “二人の足跡”

写真は、アルバム・タイトル≪toi qui t’en vas NANA MOUSKOURI≫PHILIPS 9101 015 1975 FRANCE)の洋盤LPの表面です。このLPは、1975年にベルギーの首都ブリュッセルにあるモルガン・スタジオにて録音されたものです。アレンジと伴奏指揮は、フランス・ポピュラー音楽界の才人アラン・ゴラゲールで、ナナの円熟味豊かな好唱盤です。日本では、ナナ・ムスクーリ/立ち去る人≫PHILIPS FDX-203 1976)として発売されています。

二人の足跡

今回は、本LPに収められている≪二人の足跡≫を紹介致します。この曲は、クロード・ルメール作詞、アラン・ゴラゲール作曲の歌で、フランス語の原題は“私達の歴史”です。≪二人の愛の歴史も、いつしか暗闇の中に消え去ってしまうもの・・・。でも、二人の愛は・・・。≫という内容が唄われた佳曲です。ナナは、1976年にはブラックバーンの英語歌詞(英題は“YOUR LOVE , MY LOVE”)にても、“二人の足跡”を録音しています。英語歌詞では、≪うつろいゆく世の中に、唯一つかわることのない二人の愛を信じて・・・。≫と唄っております。ナナは、1975年に録音したフランス語歌詞にて唄います。

二人の足跡 L’HISTOIRE DE NOUS

それは暗闇の中へ
紛れ込んでしまうもの
誰も 子供と大人の為に
話を作ったり しないでしょう
世界の歴史の中で
それは何の役にも 立ちません
私達の歴史


一体何を作る事が出来るでしょう
一度だけ
王子達のような
素晴らしい 愛を作りました
そして 眠れる森の美女達も
私達は それをとても羨みました
私達の歴史


全ての伝説は 似ています
私達に似ています
でも一番美しく 一番優しいのは
それは私達・・・


新しい日が訪れる毎に
歓迎され
人はどの街角にも
アメリカを発見します
それは一万と一夜
永遠の出会い
私達の歴史


私達が100歳になった時
戦いに疲れた 私達の心が
平和な時代を求めた時 終わるでしょう
それでもこの世界を
下に見たりは しないでしょう
私達の歴史


全ての伝説は 似ています
私達に似ています
でも一番美しく 一番優しいのは
それは私達・・・


それは暗闇の中へ
紛れ込んでしまうもの
誰も 子供と大人のために
話を作ったり しないでしょう
世界の歴史の中で
それは何の役にも 立ちません
私達の歴史
私達の
私達の・・・

そのはかない愛の美しさを、ナナはしっとりと唄い、私達にしみじみとした感銘を与えてくれます。