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NANA MOUSKOURI “アルハンブラの想い出”

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NANA MOUSKOURI “アルハンブラの想い出”

写真上は、アルバム・タイトルアルハンブラの想い出/RECUERDOS≫PHILIPS SNP-1060 1986)の邦盤EPの表面、写真下はEP発売当時のポスターで、EPのA面は≪アルハンブラの想い出≫、B面は≪アマポーラ≫が収録されています。アルハンブラの想い出≫は、NISSANグロリア・シーマのテレビCMとしても放映されていました。今回は、本EPに収められている≪アルハンブラの想い出≫を紹介致します。

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アルハンブラの想い出 (RECUERDOS)≫について

スペイン語のタイトルは、RECUERDOS(レクエルドス:想い出)となっていますが、この歌の原曲は、「近代ギター音楽の父」と言われるフランシスコ・タルレガ(タレガ)が作曲したアルハンブラの想い出/Recuerdos de la Alhambra≫です。

タルレガが、スペイン最南端の古都グラナダにあるサラセン文明の粋を集めて建設されたアルハンブラ宮殿を訪れた際の印象をもとに作曲しました。

アルハンブラ宮殿の情景を、ギターのトレモロ奏法(同じ音を連続して小刻みに弾く演奏技法)を効果的に使って、幻想的に描いた名曲で、「トレモロ練習曲」としても知られています。

ナナは、ヴォーカリーズ、歌詞の無いヴォーカルでこの曲を唄い、バックのオーケストラとコーラスが大いに曲調を盛り上げ、ナナのヴォーカルの魅力を引立てています。

ナナ・ムスクーリ讃歌

ナナの歌、それは「歌」の原点であり、同時にその極致である。

解説;永田文夫

 

 なんという美しい声なのでしょう。なんとさわやかなフィーリングでしょう。ナナ・ムスクーリの歌を聞くたびに、心が洗われるような気がします。その歌声とともに、夢のような光景が、目に浮かんで来るのです。たとえば、青々とした水をたたえた地中海、その上を滑るように進む白い帆・・・などなど。そうです、ナナ・ムスクーリには、何と言っても地中海がよく似合います。彼女の歌やそのバックを形づくるサウンドを、地中海ミュージックとか、地中海サウンドとか呼んでもよろしいのではないかと思います。

 

 ヨーロッパの女性歌手の中で、各国を股にかけて活躍し、インターナショナルな名声を博しているアーティストと言えば、まず第一に挙げなければならないのがナナ・ムスクーリ。≪ギリシャに生まれ、ドイツで最初の大ヒットを飛ばし、フランスにやって来て、アッという間にシャンソン界を征服し、イギリスその他の国々でも輝かしい成功を収め、スイスに居をかまえ、世界中を巡演して多忙な生活を送っている≫という、文字通り国際的なスターなのです。

 

 ナナ・ムスクーリが、これほどまでに世界中の人々に愛されていることについては、数々の理由がありましょうが、特筆すべきはその演唱のさわやかな美しさ。発声も非常に素直で、彼女の歌声は誰の耳にも快く響きます。歌いまわしもクセが無く、好ましい限りです。さりげないフィーリングの中に、ほのぼのとした心暖まる情感を込めて、メロディーをうたい上げます。淡白なようで、しかも聞けば聞くほど味のある演唱です。考えてみれば、これこそ「歌」というものの原点であり、同時にその極致ではないでしょうか。どんな国の人にも抵抗なく受け入れられる音楽性の高いヴォーカルなのです。

ナナ・ムスクーリのハミングが、≪アルハンブラ宮殿≫の想い出を奏でます。アルハンブラ宮殿は、現在はカトリック教国であるスペインが誇る屈指の世界遺産でありますが、イスラム教徒にとってはスペインに残った輝かしい歴史遺産でもあります。ナナは、アルハンブラ宮殿の歴史と悲哀を、格調高く、堂々と演唱します。