NANA MOUSKOURI=アテネの白いバラ
フォンタナ・レコードから<ナポリに帰りて>の後に発売された第2弾で、ドイツにて大ヒットしたドイツ語盤EPです。写真を見てお判りのとおり“白いバラ”ではなく“白いばら”と訳されており、少し時代を感じます。ドイツでは、1961年8月にFontana 261 264 TFで発売され驚異的なヒットとなり、一躍その名がヨーロッパ中に広まりました。
本盤に収められている「アテネの白いばら」も「アディオ」もマノス・ハジダキスが音楽を担当したギリシャ映画「憧れの夢の国」のサウンド・トラックよりの音楽で、NANAが歌うこの主題歌は、映画の素晴らしい背景音楽として成功していると評判でしたが、残念ながら日本では未公開だったようです。
1969年1月13日、NANAはパリのオランピア劇場でコンサートを開きましたが、お別れのナンバーとしてNANAの代表作といえる「アテネの白いバラ」を以下のように紹介しております。
【 解説 】アテネの白いバラ
ニュウエルとブレイヤーの英語歌詞による“WHITE ROSE OF ATHENS”が一般的ですが、コンサートではフランク・ジュラールによるフランス語歌詞で歌われました。
アテネの白いバラ ROSES BLANCHES DE CORFOU
コルフー島の白いバラ
白いバラ、白いバラ
毎晩私はあなたのことを考えて
コルフー島の白いバラ
どうして船は出発しなければならないの
太陽はまだ青い空の上
私達は楽しい時を過ごしているのに
どうして別れなければならないの
あなたの香りはとても甘い とくに明け方は・・・
でも私はあなたから遠く離れて
コルフー島の白いバラ
あなたのことを思っている
あなたのことを思っている
あなたのことを思っている
曲が終わっても人々は席を立とうとせず、熱狂的な拍手がオランピア劇場にこだまして、いつまでも鳴りやまなかったそうです。
蛇足ではありますが、フランス語歌詞は、ギリシャの叙事詩であるホメーロス作『オデュッセイア』を思い出させます。主人公オデュッセウスがトロイア戦争からの帰途、立ち寄った島がスケリア島である。(現在のケルキラ島{コルフー島/コルフ島}であると言われている。)
ポセイドーンの怒りに触れ、スケリア島の海岸に漂着したところを、島の王女であるナウシカアーに助けられる。オデュッセウスを見た島の王アルキノオスは、彼がこのまま島に留まりナウシカアーを妻にしてくれればと願う。また、ナウシカアーも彼に好意以上の気持ちを抱く。しかし、彼は妻が待つ故郷へ帰りたがっているのを知ったナウシカアーは、彼を船に乗せ送り出す。別れに際して、ナウシカアーは彼に国に帰っても、いつか自分のことを思い出して欲しいと告げる・・・・・
以上は、当方の勝手な推測であります。歌詞の背景の思いについては、フランク・ジュラールに聞いてみないと分かりません。