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NANA MOUSKOURI “ダニー・ボーイ”

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NANA MOUSKOURI “ダニー・ボーイ” 

写真上は、NANAイギリス民謡名唱集SONGS OF THE BRITISH ISLES≪自然の美をイギリスの田園に求めて≫(PHILIPS FDX-228 1976)の邦盤LPの表面です。写真下は、洋盤LP(PHILIPS 9101 024 1976)の裏面です。英国は小さな国ですが、イングランドとアイルランドとの相剋の歴史や色々な民族と言葉が存在していたため、昔より伝えられる民謡は変化にとんでいます。このLPには、ウエールズ地方の民謡が三曲、イングランド民謡が四曲、アイルランド民謡が五曲収められております。イギリス各地でコンサートを開いているNANAが、アイルランドやその他の地方のイギリス民謡を取りあげたことも、ギリシャ民謡を唄う彼女ならうなずけられます。

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今回は、LPに収められているアイルランド民謡“ダニー・ボーイ”について紹介致します。ダニー・ボーイは皆様にも馴染みの深い曲と思いますが、曲の由来やエピソードについては諸説あり、数多くの謎が残されております。

 

ダニー・ボーイのルーツについて

いまから150年程前、民謡を集めていたある女流音楽家が北アイルランドのロンドンデリー州で老婆に歌ってもらった歌を五線譜に書きとりましたが、彼女はアイルランド独特のゲール語が話せなかったので、あとからアイルランド民謡の収集家が歌詞を記録するために老婆を訪ねたところ、老婆は既に亡くなっていました。このため、旋律は≪ロンドンデリーの歌≫(ロンドンデリー・エアー)として知られ、メロディの美しさから数多くの歌詞で歌われております。1913年、イングランドの弁護士、フレデリック・ウェザリーが歌詞を付けたものが“ダニー・ボーイ”で、ハリー・ベラフォンテトム・ジョーンズが歌って世界的に知られるようになりました。ダニーという名前は、アイルランドで多い男子の名前だそうで、息子を戦場に送る嘆きが切々と歌われていますが、母親の歌か?父親の歌か?でも意見が分かれているようです。

 ( 諸説ありますので、あくまでも参考程度にして下さい。)

 

ダニー・ボーイ≪DANNY BOY≫ の歌詞について

あゝダニー・ボーイ、山谷こえて

バグパイプの音が呼んでいる

夏は去り、木の葉は落ち

君が行くのさ、私が残る

草原に夏が来たころにお帰りでも、

谷が雪で白く静まっていても、

日なたでも、日陰でも、私はここで君を待っているよ

あゝダニー・ボーイ、大好きなのよ

 

もし、お帰りが花の散る頃で、

私が、もし死んでいるなら

君が墓へ来てくれて

ひざまずいて“アヴェ・マリア”と

祈ってくれるでしょう

君の足音が静かでも、私に聞こえ

墓の中がいっそう暖かくやさしくなりましょう

きっと、かがんで愛すると言って下さるでしょう

そして、貴方が来る日まで、静かに眠ります

昔、アイルランドでは戦いの召集ラッパにバグパイプを用いていたようです。

ここに紹介した歌詞は、ドロシー・ブリトンの対訳によるものです。

 

NANAの澄んだ声と美しい旋律に乗った歌詞が一つになり、息子への想いが切々と唄われています。一度聴くと、その旋律と歌声が脳裏に残り、忘れられない曲になります。