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NANA MOUSKOURI “アメージング・グレース”

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NANA MOUSKOURI “アメージング・グレース”

写真上は、アルバム・タイトル≪アローン≫(ALONE 28PP-104 PHILIPS 1985)の邦盤LPの表面で、写真下はその裏面です。本盤は英語盤で、新しいヒット曲やトラディショナル・ナンバーが含まれており、円熟味を増したNANAの面目躍如たる収録となっております。

今回は、LPに収められている“アメージング・グレース”について紹介致します。アメージング・グレースは、“神の恩寵”をたたえた曲ですが、多くの人が一度は聴いたことがある名曲です。1979年にジュディ・コリンズが唄い大ヒットしました。この曲の作曲者は不詳で、アイルランドかスコットランドの民謡を掛け合わせてつくられたなど諸説あります。作詞者はジョン・ニュートンによる讃美歌とされていますが、ロンドンデリー・エアーと同じように、多くの歌詞が存在しています。

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ジョン・ニュートンとアメージング・グレースについて

ジョン・ニュートンは1725年イギリスに生まれ、母親は敬虔なクリスチャンでしたが、彼が7歳の時に亡くなりました。彼は船員であった父に付いて船乗りとなり、さまざまな船を渡り歩き、奴隷を輸送する奴隷貿易に携わるようになりました。彼が22歳の時、船が嵐に合い転覆の危険に見舞われました。彼は母の死後、初めて心の底から神に祈り、奇跡的に遭難を逃れ、回心を経験しました。彼はその出来事以降、酒や賭け事、不謹慎な行いを控え、聖書や宗教的書物を読むようになり、奴隷に対してはそれまでにない同情を感じていましたが、依然として奴隷貿易に従事していました。1755年、病気を理由に船を降りて牧師になる勉強を始めました。彼は、あの出来事以降、真に改悛を迎えるには、さらに多くの時間と出来事が必要だったと語っています。1779年、≪オウルニィの讃美歌集≫を出版、この中に“アメージング・グレース”が収められていました。歌詞の中では、奴隷貿易に対する悔恨と、赦しを与えた神の愛に対する感謝の気持ちが歌われています。1807年、英国国会法で奴隷貿易の廃止が決定された年に、ニュートンは亡くなりました。

 

アメージング・グレース AMAZING GRACE
大いなる愛
そのなんと甘いひびき
わたしを救い いつくしむ
道をはずれても 導きたまう
闇の中にいても 照らし出す

 

愛こそが恐れを教え
そして恐れを やわらげる
何とけだかき その愛
信じれば 知らしめす

 

苦しみ 罪を重ねれば
ずっと何も見えない
信頼と血をささげ
神の大いなる愛に守られん

NANAは神の恩寵をたたえた敬虔なこの曲を、荘重に聴く人の胸にしみこむように唄い上げていきます。そこには、彼女の素晴らしい歌だけがあります。