NANA MOUSKOURI “青春の光と影”
写真は、アルバム・タイトル≪ナナ・ムスクーリ スクリーン・テーマを歌う≫(FONTANA SFX-6006 1974) のLP表面です。このLPには、スクリーン・テーマが取り上げられ、NANAの心暖まる歌声により、映画の感動を新たにすると共に、NANAならではの魅力を充分に味わうことが出来ます。
≪青春の光と影≫
今回は、本LPに収められている≪青春の光と影≫について紹介致します。この曲は、カナダ生れの女性フォーク・シンガー、ジョニ・ミッチェルが作詞作曲した1967年の作品で、翌年、同名のアメリカ映画の主題歌として使われてヒットしました。ジュディ・コリンズのヒット曲としても有名です。原題は、≪Both Sides Now≫で、『雲・愛・人生について、私は一通り知っているつもりでいたが、でも本当は全然何も判っていなかった・・・。』という青春の詩情を歌った一編ですが、彼女が26,7歳の頃の作品ですので、素晴らしい感性と才能の持ち主と思われます。NANAは、エディ・マルネの仏語訳で唄っております。
青春の光と影 JE N’AI RIEN APPRIS
木の葉の群れに影を落とす
白い雲を見上げれば
空をさまよう貝殻と
私の目には見えた
でも今は 綿雲のなかにあるのは
雪と雨だけと 知ってしまったの
一度ならず 雨や雪は
私に降りかかってきた
空を表と裏から 私は見た
その見せかけも 真実も
けれど悲しいことに
私は何も学びはしなかった
仕合わせの踊りを踊るままに
私の心はしておきたかった
貴方が居さえすれば
愛があると 私は信じていたわ
でも今は 暖かすぎる寝床は
離れなくてはならないと分かったの
貴方が戻ってきてくれれば
全て元どおりなのだけれど
愛を表と裏から 私は見た
その見せかけも 真実も
けれど悲しいことに
私は何も学びはしなかった
みじめな朝を 過ごしもし
世界を両手に掴みもした
友人たちの話し方が
不意に他人に思えることもあった
失われた喜びは
分別が代わりをつとめてくれた
すると新たな喜びが生まれて
私は全てを忘れたの
人生を表と裏から 私は見た
その見せかせも 真実も
けれど悲しいことに
私は何も学びはしなかった
NANAはクリスチャン・シュバリエの楽団を伴奏に、素晴らしい歌声で≪雲・愛・人生について≫語りかけてくれます。≪青春の光と影≫という邦題が、原題のイメージにピッタリ当てはまる名曲です。