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NANA MOUSKOURI “スカイ島の舟歌”

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NANA MOUSKOURI “スカイ島の舟歌

写真上は、アルバム・タイトル≪SONGS OF THE BRITISH ISLES≫PHILIPS 9101 024 ENGLAND 1976)の洋盤LPの表面で、写真下はその裏面です。このLPは、英国各地に古くから伝わる変化に富んだ民謡を集めた、ナナ・ムスクーリのイギリス民謡名唱集です。編曲・指揮はアラン・ゴラゲール、プロデューサーはアンドレ・シャペルが当たっています。日本では、アルバム・タイトル≪自然の美をイギリスの田園に求めて ナナ・ムスクーリ・イギリス民謡名唱集≫PHILIPS FDX-228 1976)として発売されました。(以前に、当ブログにて紹介いたしました。)

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スカイ島の舟歌

今回は、本LPに収められている≪スカイ島の舟歌を紹介致します。“スカイ島の舟歌”は、スコットランドの古い民謡(舟歌)にアニー・マックラウドが手を加え、サー・ハロルド・ボールトンが作詞をして1884年に発表された。この曲は、1688年の名誉革命でフランスに亡命したジェームズ2世の孫のチャーリー王子が、イギリスの王位を要求して戦役を起こした故事を題材にしたものである。

カロデンの戦いについて

1688年の名誉革命でイギリスの王位と国を追われたチャーリー王子は、祖父ジェームズ2世の血筋をイギリスの正式な王として支持するジャコバイト勢力に迎えられ、1745年にフランスからスコットランドに上陸した。1746年、イギリス政府軍との雌雄を決する戦いが、スコットランドのハイランド地方インヴァネス近郊のカロデン湿原にて行われ、イギリス政府軍の一方的な勝利となった。チャーリー王子は戦禍を免れたが、政府軍の追跡をかわしてハイランド地方を敗走することになった。
このチャーリー王子に救いの手を差しのべたのがフローラ・マクドナルドである。フローラは、チャーリー王子に女装をさせ、自分の侍女を装わせてイギリス政府軍の追手の目をあざむき、スコットランド本島からスカイ島ヘ渡るボートに乗せたのでした。この時のエピソードが≪スカイ・ボート・ソング≫に唄われております。
フローラの計らいでスカイ島に逃れたチャーリー王子は、フランスヘ救出され、二度とイギリスの地を踏むことは無かった。また、フローラは、チャーリー王子逃亡に手を貸した罪を問われ、2年に渡りロンドン塔に幽閉された。

スカイ島の舟歌 SKYE BOAT SONG  ※対訳 ドロシー・ブリトン

(コーラス)
船よ 走れ 鳥のように
前進!と水夫達が叫ぶ
王になる運命を背負って生まれた男を
海の向こうのスカイ島ヘ運んでおくれ!


風音高き 波音高き
雷雲が大気を引きちぎる
敵が浜で行き詰まり
追ってくるのをあきらめる
(コーラス)
波が荒れても 静かにお眠り
海は王様の床である
波に揺られ フローラが
疲れを見守る
(コーラス)
あの日戦った男達
勇敢に刀を振り廻し
夜は静かに横たわり
カロデン野で 死んでいた
(コーラス)
我が家も燃えたり 死んだり流されたり
忠実の者が皆ばらばらだ
しかし 刀が鞘の中で冷たくなるまで
チャーリーが再び来るよ
(コーラス)

“スカイ島の舟歌”は、スコットランド民謡の中でも人気のある歌で、これはスコットランドの人々が自国の歴史の悲哀をこの歌に感じているせいかもしれません。NANAの美しく澄んだ彼女の歌声は、自国のギリシャの伝説の歌を唄う時と同様に、イギリスの民謡も違和感無く充分に楽しむことが出来ます。