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吉祥寺のオーディオ機器とNana Mouskouriのレコード・CD専門店ブログ。

NANA MOUSKOURI “糸杉の歌”

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NANA MOUSKOURI “糸杉の歌”

写真は、アルバム・タイトルナナ・ムスクーリギリシャを歌うMES PLUS BELLES CHANSONS GRECQUES/NANA MOUSKOUROI≫(FONTANA SFX-6004 1974)邦盤LPの表面です。本LPは、ナナがその本領を発揮した、記念すべき素晴らしいアルバムです。彼女が唄うのは生まれ故郷のギリシャの歌で、作曲者はギリシャの2大作曲であるマノス・ハジダキスとミキス・テオドラキスの作品が収められています。

糸杉の歌

今回は、本LPに収められている≪糸杉の歌≫を紹介致します。この曲は、ナナの恩人であるギリシャの作曲家マノス・ハジダキスの作品です。マノスは、1958年にナナと知り合い、以降、彼女に幾つもの作品を提供、彼女の成功に力を貸して<育ての親>となりました。この曲は、愛する人を糸杉に託して唄ったもので、ナナの若い頃の溌剌とした唄声が楽しめます。ナナは英語歌詞(英題:The Cypress Tree)にても唄っております。

糸杉の歌 TO KIPARISSAKI

高い高い木よ
その高い木は 私が愛した人
高い高い木よ
その高い木は 私が愛した人
彼はとっても背が高い
空に手が届いてしまうほど
彼はとっても背が高い
空に手が届いてしまうほど
私の愛する人


細い木は舞の輪の中で
まるで飛んでいるみたい
細い木は舞の輪の中で
まるで飛んでいるみたい
でも私はダメ!
彼が高すぎて 私には姿が見えない!
でも私はダメ!
彼が高すぎて 私には姿が見えない!
私の愛する人


私の愛する人
ああ とっても愛している人

歌詞のなかで唄われている木はイトスギのことです。イトスギは、ヒノキ科イトスギの総称で、サイプレス、セイヨウヒノキとも言われています。枝はあまり広がらずに幹が高く成長し、非常に細く独特の樹冠を形成します。ゴッホが好んで絵画の題材で描いています。
ナナは、ギリシャ色が満載なメロディー・ラインに乗って、<天に向って真直ぐに伸びた糸杉は私の愛する人と語り掛けていきます。

NANA MOUSKOURI “イバラの花”

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NANA MOUSKOURI “イバラの花”

写真上は、アルバム・タイトル≪恋人たちの詩集~美しきフランス~NOUVELLES CHANSONS DE LA VIEILLE FRANCE≫PHILIPS FDX-530 1978)の邦盤LPの表面、写真下はその裏面です。ナナはフランス民謡を数多く取り上げて唄っておりますが、本LPも中世期のフランス各地で歌われた伝統豊かな美しい民謡を選曲した素晴らしい民謡集に仕上がっています。

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イバラの花

今回は、本LPに収められている≪イバラの花≫を紹介致します。この曲は、フランスのトラディショナル・ソングで、若者達がハイキングへ行ったりする時に、男女のコーラスなどでよく歌われたようで、仏題も邦題と同じく≪イバラの花≫です。イバラはトゲのあるバラなどの低木ですが、花は美しく香りが高い植物です。そんなイバラを少女に託して、ナナはコミカルに唄います。

イバラの花 FLEUR D’EPINES 対訳;鳥取絹子

私を育てたお母さん
私の名前を知らなかったの
私を育てたお母さん
私の名前を知らなかったの
みんな私のことを 私のことを
イバラの花 バラの花と呼んでいる
トラ ラララ・・・・・


イバラの花 バラの花
それは高くつく名前
イバラの花 バラの花
それは高くつく名前
なぜってそれは
50金貨はするだろうから
トラ ラララ・・・・・


なぜ50金貨もするの
貞操を失っているのに
なぜ50金貨もするの
貞操を失っているのに
なぜって貞操は 貞操
15歳の娘の特権だから
トラ ラララ・・・・・


みんながあんたを見たからって
そんなに得意にならないで
みんながあんたを見たかたって
そんなに得意にならないで
確かにみんなはあんたを見たわ
立派な金持ちと一緒のところ
トラ ラララ・・・・・


私のそばにいた人は
金持ちじゃないわ
私のそばにいた人は
金持ちじゃないわ
私のそばにいた人は
あれは影だったの あれは影
深い森をさまよう月の影・・・
トラ ラララ・・・・・

ナナは、アラン・ゴラゲール編曲・指揮による軽快な伴奏に乗って、≪イバラの花≫にまつわる物語を爽やかに唄います。

NANA MOUSKOURI “あなたの愛の中で”

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NANA MOUSKOURI “あなたの愛の中で”

写真上は、アルバム・タイトル≪JE CHANTE AVEC TOI LIBERTE≫(PHILIPS 6399 295 1981 HOLLAND)の洋盤LPの表面、写真下はLP見開きのスナップ写真です。ナナは1980年代に入ると精力的な活動を開始し、自分の持ち味に合ったアルバムを発表するようになります。このアルバムもヨーロッパの気品を備えたソフト・ヴォーカルを楽しむことが出来ます。日本にては、同様のLPがアルバム・タイトル≪愛は遥か彼方に/ナナ・ムスクーリ 愛と喜びの詩≫PHILIPS 28PP-26 1981)として発売されています。

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あなたの愛の中で

今回は、本LPに収められている≪あなたの愛の中で≫を紹介致します。この曲は、ジョン・サケルとアラン・ゴラゲールが作曲し、クロード・ルメールがフランス語歌詞を書いた愛をテーマにした作品で、仏題は<貴方の愛>です。ナナは、<過去 現在 未来 私は何も欲しくない 貴方の愛で十分>と、すべてのものに対する愛の歓びを唄います。ナナは、Arnie-Arling作詞によるドイツ語歌詞(Meine Welt wird schon durch deine Liebe)にても唄っております。

あなたの愛の中で TON AMOUR

心の中に雨が降り
一日が長すぎて
悲しすぎる夢をみるとき
私はこんな声を耳にする
今夜こそ 君は彼に会える
彼も同じ仲間で 変わりやすい
君は子供
兄になり 友になる
孤独のあと 仲間が集まって
いつものようにバカ騒ぎ


貴方の愛 それは世界中の愛
ああ 見ないで 笑わないで
貴方の愛 それは世界中の愛
過去 現在 未来
私は何も欲しくない
貴方の愛で 十分


風の中に 貴方の声が聞こえるよう
“夏の夜の太陽”という歌の中
この子の澄んだ笑い声が 歌になる
周りがあまりに静かだから


貴方の愛 それは世界中の愛
ああ 見ないで 笑わないで
貴方の愛 それは世界中の愛
過去 現在 未来
私は何も欲しくない
貴方の愛で 十分

ナナがアラン・ゴラゲール編曲・指揮による詩情漂う伴奏に乗って、強い愛の気持ちを喜びの詩に託して唄う佳曲です。

NANA MOUSKOURI “夢を追う影”

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NANA MOUSKOURI “夢を追う影”

写真は、アルバム・タイトルNANA MOUSKOURI“ALLELUIA”≫PHILIPS 9101 159 1977 FRANCE)の洋盤LPの表面です。このアルバムには、ナナの本領を発揮したギリシャの曲をはじめ、シャンソン歌手でもあるセルジュ・ラマとデュエットした≪ハバネラ≫を収めた力作となっております。日本では、同様の邦盤LPが、≪愛のハレルヤ/ナナ・ムスクーリPHILIPS FDX-345 1978)として発売されています。

夢を追う影

今回は、本LPに収められている≪夢を追う影≫を紹介致します。この曲は、フランスのピアニストで作曲家・演奏家としても知られ、ナナとも関わりの深いアラン・ゴラゲールが作曲し、セルジュ・ラマが作詞した作品で、仏題は≪それは起こるでしょう≫です。ナナは、<この閉じたままの窓を開けるために、彼は多分来るでしょう・・・>と夢の中での出会いを願う少女の想いをささやきます。

夢を追う影 IL ARRIVERA PEUT-ETRE

通り過ぎる あれがそうですか?
そして貴方に微笑む あれが彼?
何も喋らなかったことに
疲れ果てている あれが彼?
短い人生の中で
夢を追う あれが彼?
その人生で 彼はよく
小さな子供でしかいません


彼は多分来るでしょう
ラメ色の私達の友
この閉じたままの窓を
開けるために・・・・・


貴方を慰めようとする
あれが彼でしょうか?
真実の影におびえる
あれが そう?
彼は恥ずかしく生きているって
人は貴方に語るでしょう
私は夜 夢の中で
彼に出会うの


彼は多分来るでしょう
ラメ色の私達の友
この閉じたままの窓を
開けるために・・・・・


何かを探している あれがそう?
それとももう見つけた あれが彼?
貴方に助け舟を出すか
それとも助けてあげなければいけないのかしら
あれが・・・でもどうでもいいわ
たとえ彼が私の扉をたたいたとしても
勝ち誇ったように足で激しく
そしてまた 優しくたたいたとしても


彼は多分来るでしょう
ラメ色の私達の友
この閉じたままの窓を
開けるために・・・・・


彼は多分来るでしょう
ラメ色の私達の友
この閉じたまあまの窓を
開けるために・・・・・

ラメ(Lame);金銀糸のほかに金属箔を施した糸、それらの糸を織り込んだ織物の総称

ナナは、アラン・ゴラゲール編曲・指揮による情感漂う伴奏に乗って、<夢を追う影>に願いを込めて想いを語り掛けていきます。

NANA MOUSKOURI “バイヤ・コン・ディオス”

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NANA MOUSKOURI “バイヤ・コン・ディオス”

写真は、アルバム・タイトル≪ある恋の物語~ラテンの心を唄う/ナナ・ムスクーリ≫(PHILIPS PHCA-115 1991)の邦盤CDの表面です。このアルバムは、ラテンのスタンダード・ナンバー集で、お馴染みの名曲にフレッシュなアレンジが施されており、ラテン・ヴォールの醍醐味を余すところなく味わうことが出来ます。ナナの情熱を込めてメロディアスに唄い上げる歌声は、ラテン・ナンバーにピッタリで、異国の街を爽やかに流れる風そのものです。

バイヤ・コン・ディオス

今回は、本CDに収められている≪バイヤ・コン・ディオス≫を紹介致します。この曲は、1953年にイネス・ジェームスが作曲、バディ・ペパーとラリー・ラッセルが作詞した愛と別れの歌で、原題は≪神と共に行きたまえ≫(May God Be With You)です。これはメキシコのランチェラ(メキシコのカントリー・ミュージック)の形で書かれたアメリカの歌です。スペイン語の歌詞を書いたのはガンボアという人ですが、ナット・キング・コールスペイン語歌詞で唄い、ラテンアメリカ諸国で大いに歌われました。ナナの好唱が光る一編です。

バイヤ・コン・ディオス VAYA CON DIOS  対訳;永田文夫

命の人よ 御機嫌よう
愛する人よ 御機嫌よう


もうお別れの時が来た
心は静かに ため息ついて言っている
命の人よ 御機嫌よう
愛する人よ 御機嫌よう


教会の鐘も また悲しそうに鳴っている
鳴りながら 貴方に告げているようだ
命の人よ 御機嫌よう
愛する人よ 御機嫌よう


貴方が何処へ行こうとも
私も貴方と共に行き
夢の中では何時までも
貴方の傍に居るでしょう
貴方は私の声を聞くでしょう
優しい私の恋人よ
何時もまた会えることを
私と同じく 貴方も思っているでしょう


幸せな目覚めの夜明けが
貴方を待っているのです
何処へなりと 貴方の心の中に私が一緒に
行くならば・・・・・
命の人よ 御機嫌よう
愛する人よ 御機嫌よう
命の人よ 御機嫌よう
愛する人よ 御機嫌よう

ナナが唄う≪愛と別れの歌≫で、<命の人よ 御機嫌よう(Vaya con Dios mi vida)愛する人よ 御機嫌よう(Vaya con Dios mi amor)>のリフレインが心に響きます。