NANA MOUSKOURI “愛のささやき”
写真上は、アルバム・タイトル≪ナナ・ムスクーリ 愛のささやき(DIS-MOI)≫(FONTANA SFX-5069 1973?)の邦盤LPの表面、写真下はNANAのサイン入り目次頁です。LPの帯には、≪ミッシェル・ルグランのピアノ伴奏で歌う「愛のささやき」を始め全て最新録音の話題必聴盤!!≫と紹介されています。(本LPは、当ブログにて以前にも紹介しております。)
愛のささやき
今回は、本LPのアルバム・タイトルになっている≪愛のささやき≫を紹介いたします。この曲は、1971年のフランス映画「水の中の小さな太陽」の主題歌で、作詞は映画の原作者であるフランソワーズ・サガン、作曲は才人ミッシェル・ルグランです。≪愛と背中合わせに存在するエゴイズム≫をテーマにしたサガンらしい詞に、ルグランがメロディアスでセンチメンタルな美しい曲を書きました。この曲は、ルグラン自身がピアノ伴奏を買って出ており、作曲者ならではのセンシブルなタッチのピアノをバックに、NANAは切ない思いをしっとりと唄います。
映画≪水の中の小さな太陽≫について
パリの通信社に勤務するジルは、ジャーナリストとして将来を嘱望されていたが、仕事に加え同棲しているエロイーズとのゴタゴタで精神的に行き詰っていた。親友の勧めで南フランスのリモージュで静養していた。ある日、地元の名士シルヴネール家でのパーティに招かれ、ナタリーを紹介されてその美しさに心を奪われた。その翌日、ナタリーがジルを訪ね、陶器博物館へ案内する事になった。その帰り道、二人は小さなホテルでごく自然に結ばれた。別れ際、彼女は自分がシルヴネール夫人である事を告げた。
休暇を終えてパリに帰ったジルは、エロイーズに有りのままを伝えると、彼女は全てを察してアパートを出ていった。
夏が終わる頃、ナタリーは夫のもとを去ってパリに出て来た。二人のパリ生活は楽しかったが、ジルは愛の苦しさも味わうようになり、苦しい心境を彼女に告白した。それを耳にしたナタリーは、絶望のあまりアパートを飛び出した。
その夜、苦しい自責の念に駆られ電話を待つ彼に、救急病院から電話が入った。彼女が睡眠薬自殺を図り、病院に担ぎ込まれたと。医師からは、命の保証は出来ないと言われ、茫然として病院の扉を開けた・・・・
愛のささやき(映画「水の中の小さな太陽」) DIS-MOI
言って 知ってるでしょ 好きだって
もう遅すぎるけど それでも言って
言って 貴方の為なら 何でもするわ
私はもう死んじゃう
多分 貴方より早く
もし何故か知っていたら
今夜 貴方がそうするのを
愛しい人 私の希望
言って いいえ 知らなかったわ
愛は貴方だって
言って 知って欲しいの
私はだめになっていたの
それにも気がつかなかった
全然
言って 本当に 愛し合っているって
未だ幸せだよって
NANAは、ルグランの華麗なピアノ伴奏に乗り、愛のもろさとエゴイズムを知りながらも、愛にすがって生きようとした女性の光と影の交錯する心情を見事に唄い上げます。