Sound Gallery ブログ

吉祥寺のオーディオ機器とNana Mouskouriのレコード・CD専門店ブログ。

NANA MOUSKOURI “哀れなリュトブーフ”

f:id:soundgallery:20161024120209j:plain

NANA MOUSKOURI “哀れなリュトブーフ”

写真は、アルバム・タイトルナナ・ムスクーリシャンソン・アルバム≫(FONTANA SFX-6003 1974)の邦盤LPの表面です。本LPは、ナナがパリを拠点として活動する中で、シャンソンを数多く取り上げておりますが、その中から名曲・名唱を集めて編集された1枚です。彼女ならではの美しい演唱に、シャンソンの魅力を再発見する事が出来ます。

哀れなリュトブーフ

今回は、本LPに収められている≪哀れなリュトブーフ≫を紹介致します。この曲は、中世の吟遊詩人リュトブーフ(リュトブフ)の詩に、<パリ・カナイユ>等で知られるレオ・フェレが1956年に作曲した一篇で、レオ・フェレをはじめ多くの歌手によって歌われています。リュトブーフは、13世紀後半の人で、パリで貧窮のうちに放浪生活を続け、庇護者を求めての惨めな生涯を送り、絶望や悲惨さを詩に書き綴りました。ナナは、ジョルジュ・ペツィラスのギター・ソロを伴奏に、しみじみと唄います。

哀れなリュトブーフ PAUVRE RUTEBEUF

あの友人達は どうなったのだろう
あんなに身近に付き合い
とても好きだった友人達は
みんなバラバラになってしまったの
風がそうさせたのね
愛は死んでしまった
風がみんなを連れ去ったんだわ
風は私の扉の前を吹いて
彼等を連れて行ってしまったの


時がたって 木々が裸になる時
もう 地面に落ちるだけの
白い葉しか残ってない時
貧しさに打ちひしがれ
あちこちで いさかいをする
冬の話は
聞かせる様なもんじゃない
どんなに 恥ずかしさを感じた事か
どんなに


あの友人達は どうなったのだろう
みんなに身近に付き合い
とても好きだった友人達は
みんなバラバラになってしまったの
風がそうさせたのね
愛は死んでしまった
悪いことばかりじゃなかったけれど
来るべきものは
みんな来たわ


悲しい苦しみ 悲しい思い出
栄光の神が 私にくれたものはそれ
そして僅かばかりの年金
それに北風が吹く時の ひどい仕打ち
風はやって来て 私に吹きさらす
愛は死んでしまった
風は友人達を 連れ去ってしまったの
私の扉の前を吹いて
連れて行ってしまったの


明日にかける希望こそが
私の喜び

ナナは、放浪の吟遊詩人リュトブーフの旅の哀れを、しみじみとした味わいも格別に聞かせてくれます。原曲の味を損なわずに、現代風のセンスの良い控えめな演唱が聞きものです。