NANA MOUSKOURI 歌劇“カルメン”を唄う
写真は、1978年に日本で発売されたLP“愛のハレルヤ ALLELUIA”(PHILIPS FDX- 345 1978)で、美しいギリシャの曲をはじめ人気シャンソン歌手であるセルジュ・ラマとのデュエットで歌劇カルメンよりハバネラを収めた力作であります。
カルメンはジョルジュ・ビゼーが作曲したフランス語によるオペラですが、フランスの作家であるプロスペル・メリメがスペイン旅行の折に聞いた実話がもととなっています。カルメンはフランス・オペラの記念碑的名作であり、オペラ史においても高い評価を得ている芸術作品です。
オペラ≪カルメン≫は4幕で構成されており、以下の通りです。
オペラ≪カルメン≫のあらすじ
【 第1幕 】
セルビアの煙草工場でジプシーの女工カルメンが喧嘩騒ぎを起こし牢に送られることになります。しかし護送を命じられた伍長ドン・ホセは、カルメンに誘惑され彼女を逃がします。
【 第2幕 】
カルメンの色香に迷ったドン・ホセは、婚約者ミカエラを振り切りカルメンと会いますが、そのとき既にカルメンの心は闘牛士エスカミーリョに移っていました。
【 第3幕 】
ミカエラの説得に応じないドン・ホセは、カルメンの心を繋ぎ止めようとしますが、カルメンの心は完全に離れていました。
【 第4幕 】
闘牛場の前で、エスカミーリョが闘牛場に入ったあと、カルメンの前にドン・ホセが現れ復縁を迫ります。復縁しなければ殺すと脅すドン・ホセに対して、カルメンはそれならば殺すがいいと言い放ちます。
逆上したドン・ホセはカルメンを刺し殺します。
ハバネラ(Habanera)は、オペラの第1幕で歌われており、冒頭の歌詞から≪恋は野の鳥≫の題名でも呼ばれております。カルメンは歌を歌い終わるとドン・ホセに向かって花を投げ与えます。第2幕では、ドン・ホセがカルメンから受け取った花を大切にしていることが歌われます。
ハバネラ~歌劇「カルメン」より(HABANERA DE CARMEN)
愛は手に負えない小鳥
誰も飼い慣らすことはできないもの
だから、いくら愛を呼ぼうとしても
拒むのがふさわしい愛なら、それは無駄
誰の祈りにも見向きもしない
ある愛はよく喋り、もう一つは黙っている
でも私が好きなのは黙っている愛
何も語らなかったけれど、お気に入り
愛・・・愛はポエームのように自由な子供
法の決まりなんか頭に入っていなかった
あなたが私を愛していなくても、私はあなたが好き
あなたを愛しているから、気をつけて!
もしあなたが私を愛していなくても
あなたが私を愛していなくても、私はあなたが好き
でも、もし私があなたを愛しているとしたら 気をつけて!
君がまんまと手に入れたと思った小鳥は
羽ばたき、飛んで行ってしまったよ
愛は遠く、君は待てる
もう待つことはない、そこにいる
君のまわりを、早く、早く
愛は来たり、行ったり、また戻る
君はつかまえたと思うと、愛は逃げ
愛が避けていると思うと、君をつかまえる
オペラのなかで、カルメンに騙されているドン・ホセを救い出そうとする良妻賢母的な女性ミカエラが登場しますが、自由奔放で破滅的なカルメンに魅力を感じるのは当方だけでしょうか?そこには美学が存在するためと思われますが、如何でしょう。
NANAはセルジュ・ラマと共に、カルメンの自由な心情を唄ったハバネラを力強くドラマチックに歌い上げます。一度聴いたら忘れられない歌となります。