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NANA MOUSKOURI “ゴロンドリーナ”

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NANA MOUSKOURI “ゴロンドリーナ

写真は、アルバム・タイトル≪アマポーラ~恋のアリア/ナナ・ムスクーリPHILIPS 28PP-135 1986)の邦盤LPの裏面です。このLPは、スペイン語によるアルバムで、ナナのスペイン語により曲に豊かな情感が与えられ、快い雰囲気と感銘を覚える仕上がりのLPとなっております。LP発売と同時にCD化もされています。(以前に、当ブログにて紹介致しました。)

ロンドリーナ

今回は、本LPに収められている≪ゴロンドリーナを紹介致します。この曲は、メキシコ各地で愛唱歌として歌い継がれている民謡曲で、原題の(LA GOLONDRINA)はスペイン語で≪つばめ(燕)≫の意味です。
メキシコ出身の医師であったナルシソ・セラデル・セビージャが作曲したもので、1861年のフランス・メキシコ戦争で捕虜としてフランスへ連行されました。この時の祖国メキシコへの望郷の想いを、≪燕の詩≫に託して作った曲です。

もともとの原詩は、アラブ出身のアベン・アメーで、アラブがイベリア半島を約250年間に渡り支配していましたが、1492年に最後の砦であったグラナダがヨーロッパ勢により陥落した際に、滅びた祖国を偲びその悲しみを≪燕≫に託して謳った詩と言われています。
≪安住の地を求めて飛び立つ燕を見送りながら、愛する祖国を想い、翼のない我が身を悲しむ・・。≫

ロンドリーナ LA GOLONDRINA  対訳;高場将美

何処へ行く そんなに急いで 疲れて
ここから去って行く燕よ
もし風の中に 道を迷ったら
安住の地は 見つからなくなるだろう


私のベッドの傍に 巣を作ってあげよう
そこで冬を過ごせば良い
私もまた この地に迷い込んで
ああ しかも飛ぶことも出来ない


私もまた 愛する祖国を去った
生まれた家も捨てた
放浪の苦しみが 今の私の人生
もうあの家に 戻ることは出来ない


愛しい鳥よ さすらいの愛人よ
私の心で お前の心を抱き締めたい
やさしい燕よ お前の歌を聞こう
私の国を思い出し 泣くために

哀愁を帯びたメロディーに乗って、ナナはほのぼのとした心暖まる情感を込めて唄います。聞けば聞くほどに味のある演唱を、しっとりと≪名残りを惜しむ唄≫を聴かせてくれます。メキシコでは、日本での≪蛍の光≫のように、人との別れの際に歌われ、店の閉店時にはこの曲が流されるそうです。