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NANA MOUSKOURI “花売り娘”

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NANA MOUSKOURI “花売り娘”

写真上は、アルバム・タイトル≪想い出のバルセロナナナ・ムスクーリPHILIPS 28PP-143 1987)の邦盤LPの表面、写真下はその裏面です。このLPはスペイン語によるアルバムで、スペインの新しいヒット曲やラテンのスタンダード・ナンバー等が収められており、ナナの豊かな情感がスペイン語に見事に消化され、深い感銘を与える仕上がりのLPとなっております。(本LPは、以前に当ブログにて紹介しております。)

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花売り娘

今回は、本LPに収められている≪花売り娘≫を紹介致します。この曲は、1925年頃よりパリで活躍し数多くの名作を残したスペインの作曲家ホセ・パディーリャ・サンチェスの作曲、スペイン語の原詩はエドアルド・モンテシーノス・ロペスの作品で、1920年代のスペインのヒット・ソングです。原題は≪ラ・ヴィオレテラ(すみれ売りの娘)≫マドリードのすみれの花売り娘を唄ったナンバーで、スペイン出身の女性歌手ラケル・メレが歌ってパリで大ヒットしました。この歌を聞いたチャールズ・チャプリンは、1931年に製作した映画『街の灯』にて、この唄のメロディーを使用しています。日本では、古くは宝塚歌劇のレビュー「花詩集」の主題歌となり、シャンソンとしても知られています。最近では、テレビのコマーシャルに使われました。また、大貫妙子「美しい人」というタイトルで、この曲に詩をつけて歌っております。

その昔スペインでは、春になるとマドリードの街角にスミレの花売り娘達が姿をみせたそうで、今では<スミレの花売り娘>の銅像が、アルカラ通とグランビア通の合流点に設置されています。また、スミレの花の砂糖漬けやスミレのキャンディーは、マドリードの名物となっています。ナナ・ムスクーリは、1987年にこの曲をレコーディングしました。

花売り娘 LA VIOLETERA  対訳;高場将美

春を告げに渡って来た
小鳥達のように
マドリード
すみれ売りの娘達が現れる
その呼び声は つばめの様に
さえずる さえずる


お持ちなさい 若旦那
たったの 1レアルですよ
この花束を お買い下さい
お持ちなさい 若旦那
ボタン穴に お飾りなさい


楽し気な瞳
にこやかな顔
これこそ人の言うマドリード
純粋な土地っ子の見本
眼を動かすと
人はとりこになる 
とりこになる


お持ちなさい 若旦那
たったの 1レアルですよ
この花束を お買い下さい
お持ちなさい 若旦那
ボタン穴に お飾りなさい

春になるとマドリードの街角に、姿を見せるチャーミングな≪すみれ売りの娘≫を唄った名曲に、ナナは快い地中海の雰囲気を吹き込み、花売り娘の姿を鮮やかにリバイバルさせました。