NANA MOUSKOURI “オール・マイ・トライアル”
写真上は、アルバム・タイトル≪アローン/ナナ・ムスクーリ≫(PHILIPS 28PP-104 1985)の邦盤LPの表面で、写真下はその裏面です。このLPには、英語歌詞によるヒット曲のほか、トラディショナル・ナンバーからポピュラー・ナンバーまでが含まれており、ナナによる円熟したフィーリングを充分に楽しむことが出来ます。LP発売と同時にCD化もされています。
オール・マイ・トライアル
今回は、本LPに収められている≪オール・マイ・トライアル≫を紹介致します。もともとは、ニグロ・スピリチュアルだったと言われるバハマ諸島の民謡です。ハリー・ベラフォンテやジョーン・バエズらの歌でポピュラーになりました。この曲は、死の床にある母親が、子供達に聞かせるお話を唄ったものです。
歌詞のヨルダン川の寓話は、キリスト教徒がその川を渡ることを、死の経験として<体は冷えるが魂は冷えない>ものとして表しております。
オール・マイ・トライアル ALL MY TRIALS
主よ 私の試練のすべては
もうすぐ終わります
私は3ページの小さな本を
手に入れました
そして どのページにも
自由が綴られております
主よ 私の試練のすべては
もうすぐ終わります
ヨルダンの川は
濁っていて冷たい
体は冷えるけど
魂は冷えません
主よ 私の試練のすべては
もうすぐ終わります
遅すぎました兄弟達
遅すぎますが
気にしないで下さい
主よ 私の試練のすべては
もうすぐ終わります
もし生きることが
お金で買えるなら
金持ちは生き
貧しい人は死ぬでしょう
主よ 私の試練のすべては
もうすぐ終わります
楽園には
木が生えています
巡礼者達は
それを命の木と呼びます
主よ 私の試練のすべては
もうすぐ終わります
主よ 私の試練のすべては
もうすぐ終わります
ナナは、死に向き合っている母親の哀切きわまりないお話を、ほのぼのとした愛情を込めて唄い、彼岸の救いを暗示します。